人間は、適度なストレスを受けると徐々にそのストレスに適応する能力があります。

例えば、キックボクサーのすねの骨はものすごく固いのですが、これは少しづつ繰り返し衝撃を受けるトレーニングで適応したものです。また、持久系のスポーツトレーニングを行うと、心肺機能も強化されていきます。身体だけでなく、精神的なストレスも同様です。ステージで発表することが最初は緊張していた人でも、適切なトレーニングを行うと徐々に慣れていきます。

これらと同様に、筋肉も負荷(ストレス)がかかると、そのストレスに少しづつ適応しようとします。
例えば、腕立て伏せを行って、最初は5回しかできなかった人が、続けていくと20回出来るようになったといった話です。

■筋肥大の仕組み


一般的に、大きな負荷にも適応できるようになっていくということは、筋肉が太く大きくなり筋力が向上します。これが筋肥大の基本的なメカニズムです。


つまり、筋肉を大きく(筋肥大)したいのであれば、筋肉に太くなる必要性を感じさせるようなトレーニングが必要です。そして、栄養をしっかり補給して、休息する。このサイクルで筋肥大が起きます。

さて、体が筋肥大の必要性を感じる負荷には、いくつかの要素があります。その要素は次の2つがあります。

■筋肥大の反応を生み出す負荷の種類


①筋肉の伸縮
簡単に言うと、筋肥大させたい部分の筋肉を使うということです。逆に、筋肉は使わないと衰えます。
例えば、宇宙に行って無重力空間で生活すると筋肉に負荷がかからず、筋肉をほとんど使わない生活となります。その為、宇宙飛行士が地球に帰ってくると立てないほど筋肉が弱ってしまうケースがあります。もちろん、そうならないように宇宙空間で筋トレをしていても、あくまでも部分の筋肉を鍛えているために、全身の筋肉バランスを一時的に失ってしまう分かりやすい例と言えます。

さて、筋肉は使えば肥大するというわけではありません。筋肉は、瞬発系の速筋と持久系の遅筋があり、速筋の方が肥大するため、速筋をいかに刺激するか!ということが筋肥大の最大のトレーニングポイントと言っても良いでしょう。速筋は強い負荷がかかると刺激されます。


トレーニングによって、筋肉には微細な損傷が生じます。これは、一般的に言う筋肉痛というものです。ただし、筋肉痛が起きているからといって、それが筋肥大とは関係が低いことが分かっています。持久系の運動でも筋肉痛が起きることを考えると、全くその通りだと思います。


■筋トレで筋肉痛にならなくても筋肉は発達する

古い考え方で、筋肥大するためには筋肉痛が効いている証拠だとか、筋肉痛になること頑張った証明であるかのように思い込んでいる人もいますが、もうそのような時代ではありません。

筋肉痛は、筋肥大の必須条件ではりません。


筋繊維の損傷については、筋肉が収縮する時よりも、力を使いながら引き伸ばされる状態の方が圧倒的に起きやすいと言われています。例えば、ダンベルカールで、上げる時ではなく下げる時の方です。
ある実験では、上下運動の片方だけを行った結果、ダンベルを下げる動作の方を行ったグループが筋肥大効果が大きかったという研究もある為、何かしらの関連はある、という見解が適切と言えそうです。


②低酸素状態(無酸素運動)による代謝物
筋肉を使うと、エネルギーサイクルにより代謝物が体内に発生します。これらの代謝物が、テストステロンなど筋肥大を誘発する成長ホルモンの分泌を促すと言われています。筋トレ後に、筋肉が一時的に大きくなった気がするパンプアップという現象は、血流が増し代謝物も蓄積している状態です。あるいは、筋肉がもう無理!と限界を感じるように筋トレで追い込んだ時に感じる熱いような痛みのようなものを感じるバーニングという状態も同様です。

これは、筋肉が低酸素状態になり酸素が足りなくなることで、代謝物の蓄積が多くなります。このような低酸素状態を生み出すトレーニングは筋肥大が促進させます。無酸素運動の反対は有酸素運動なので、スピード×筋力で大きな負荷がかかると上記のような現象となります。

また、逆に反動を使わず大きな負荷でじっくり効かせる筋トレも、上記のような現象を生み出します。この方法は筋肥大に向いています。

他には、短いインターバルで行うことで低酸素状態をより作り出したり、加圧トレーニングなども低酸素状態を作り出すことで筋肥大を促すような方法もあります。


筋肥大をさせる為には、筋肉を適切な刺激で使うこととホルモン分泌の促進などであり、筋肉痛なしでも筋肥大は起きます。